不動産鑑定士とは
不動産鑑定士試験に合格し、定められた手順を経た後に国土交通省にて備えられた不動産鑑定士名簿に登録される方を不動産鑑定士と呼ぶます。不動産系の資格として人気なのは宅地建物取引士(宅建士)ですがその他にも土地家屋調査士、測量士、マンション管理士、管理業務主任者、建築士などがありますが不動産鑑定士は不動産系資格の最高峰と言われています。
不動産鑑定士は平成29年度で9,532人となっており、弁護士の36,415人、税理士の78,028人、司法書士の22,283人と比べるとかなり少なく稀少価値を有する資格といえます。司法試験、公認会計士そして不動産鑑定士を三大文系難関国家資格として数えられる。不動産鑑定士が業務対象とする「不動産」は、土地の価格や不動産売買の有無が直接景気の影響を受けないため、好不況に左右されにくい。独立開業はもちろん、企業内不動産鑑定士として、専門能力を発揮することもできる不動産系の最高峰資格です。不動産鑑定士の業務に「不動産の適正な価値を鑑定」があるが近年公共事業の低迷とともにその人気とニーズは下火となりつつある。
不動産鑑定士になるには
不動産鑑定士になるために、2段階の試験と講習の3段階の手続きをクリアする必要がある。
不動産鑑定試験詳細を開く
1段階目:短答式試験(マークシート方式)
1段階目となる短答式試験(4科目の試験でマークシートの択一式試験である)は例年5月に実施されます。受験資格はなく誰でも受験できます。短答式試験合格者は翌年、翌々年の2年間(合格年を含むと3年間)短答式試験が免除されます。
試験地は北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県 10都市にて行われます。
短答式 試験科目
- 行政法規(択一式40問/2時間/配点100点 10:00~12:00の120分)
- 鑑定理論(択一式40問/2時間/配点100点 13:30~15:30の120分)
合格基準
総合点で概ね7割が基準となる
合格率 短答式
- 2018年 受験者1,751人 合格584人 合格率33.4%
- 2019年 受験者1,767人 合格573人 合格率32.4%、
- 2020年 受験者1,415人 合格468人 合格率33.1%
- 2021年 受験者1,709人 合格621人 合格率36.3%
2段階目:論文式試験
2段階目となる論文式試験は例年8月、東京都・大阪府・福岡県で実施します。論文試験は短答式試験の合格者のみが受験できます。7月下旬~8月上旬の日曜日を含む土・日・月の連続する3日間で実施。
論文式 試験科目
- 民法、会計学、経済学(大問2問/2時間/配点100点)
- 鑑定理論(大問4問/4時間/配点100点・演習1問/2時間/配点100点)
合格基準は総合点で概ね6割。
合格率 論文式
- 2018年 受験者789人 合格117人 合格率14.8%
- 2019年 受験者810人 合格121人 合格率14.9%
- 2020年 受験者764人 合格135人 合格率17.7%
3段階目:実務修習
そして、2段階の試験を合格した方だけが実務修習を経て、不動産鑑定士に登録することができます。
期間:1年及び2年コースから選択 全16科目をeラーニング形式にて受講
最後に修了考査(合格率 約80%)があります。
不動産鑑定士として成功するには
不動産価値の低下などの影響から不動産鑑定書の作成単価は減少傾向にあり不動産鑑定士一人当たりの報酬も減少傾向に現在あります。不動産鑑定士として生計を立てていくにはただ資格を保有すればよいというわけではなくなったといえます。
都市部よりも地方の不動産鑑定士の方が儲かる
上記は関東圏・愛知・大阪といった都市部に不動産鑑定士は集中していることを表すデータ(国交省より)です。都市部の方が売買による取引の流動性は高いのですが、その分、競合となる不動産鑑定士も多く競争が激化しているといえます。一方の地方は不動産鑑定士の数は少なく安定した依頼を得ることができます。無駄な広告費などをかけることもなく依頼を得ることができるので地方の不動産鑑定士の方が儲かるといえます。また、リモートワークの浸透などにより地方圏の土地利用は見直されていますので都市部を離れ地方での不動産鑑定士として活躍という選択も一考の価値があるといえるかと思います。
隣接・周辺業務の強化が成功の鍵
不動産投資などに関する相談・コンサルティング業務といった隣接・周辺業務の報酬額は不動産鑑定業務の報酬の30%程度の規模があります。このパイをうまく取り込んでいくことが現在の不動産鑑定士としての成功の第一歩といえるかもしれません。
まとめ
不動産鑑定士の試験は最終的な合格者数を見ても非常に難易度の高い不動産系の最高峰の試験と言えます。一方でその専門性のみでの仕事は少なくこの資格をもっているからといって年収うん千万円を狙えるのか?というそうではありません。売買などの不動産取引によって生まれる利益の方が大きいため、不動産鑑定士の資格も持っている不動産に関するプロ中のプロといった形でのセルフブランディングの方が高い年収を獲得するにはよいかもしれません。学生時代から試験を解くのは得意!!という方はチャレンジする価値のある資格の一つといえるかもしれません。